鉄オタではないのだが、電車は好きだ。ルーツをたどれば、「銀河鉄道999」に登場する111から999のおもちゃの車両はコンプリートしていた、今思えば甘々でバブリーなお子さまだった。
だから今回のミッションだった「めでたいでんしゃ」への乗車・撮影は、非常にワクワクする仕事だった。和歌山市駅と加太駅を結ぶ南海電鉄加太線、通称「加太さかな線」の観光列車「めでたいでんしゃ」。詳しい説明は公式サイトをご確認いただくとして、
今回、和歌山市駅から乗車したのは、シックな黒いデザインがイカす「かしら」。ロックバンド「ラルク アン シエル」のボーカリストであり和歌山市出身のアーティスト・HYDEさんとコラボした車両は音楽や宝、冒険のモチーフが詰め込まれている。
平日の日中、通勤通学の時間帯を避けて乗車したので乗客はまばら。怪しい雰囲気を醸し出しながら、車両内の隅々まで堪能し、人が入らないタイミングでカシャカシャ。パンフレットや画像でしか見たことがなかった車内を360度じっくり観察。HYDEさんのサインもしっかり確認できましたよ。
加太駅に到着すると、ホームにはめでたいでんしゃの「め」のオブジェがお出迎え。ここから加太の町並みを通り、目的地である「淡嶋神社」をめざしてのんびり歩いた。
迷路のような路地には、歴史を感じさせる古民家やレトロな看板、地域を見守り続ける「加太春日神社」など見どころがたくさん。この日は幸運にも「キシモト商店」で揚げパンをゲット、やはり揚げたてはおいしかった!
加太駅から徒歩20分ほどで淡嶋神社に到着。薬の神様とされる少彦名命(すくなひこなのみこと)を祭神とし、婦人病や安産祈願など女性のための神様として昔から信仰を集めている。
皆さんご存知だと思うけど、人形供養の神社としても有名で、境内各所に人形が並べられている様子は、なかなかです。毎年3月3日、全国から見物客が集まる「雛流し」の神事では、舟に乗った人形が波間を揺らめく幻想的なシーンが楽しめる。
帰りのめでたいでんしゃは、昨年夏にデビューした「かなた」。最新車両は「太古の記憶エリア」「未来への想いエリア」という2つのコンセプトから構成される。
乗車する前に調べていたのだが、「太古の~」は多くの古代生物が暮らしていた大昔の和歌山を表現。有田川町で発見された新種「ワカヤマソウリュウ」のダイナミックな等身大イラストが描かれており、大きさが実感できる。
もう一方の「未来への~」は、言うなればSDGsめでたいでんしゃバージョン。美しい海や多様な生き物が暮らす山など、未来へと守っていきたい自然が表現されている。
通勤や通学、買い物といった日常使いだと気に留めなくなるのだろうけど、せっかく電車に乗るのならこんなんがいいなと子どもみたいに羨ましくなった。
そういえば、この前所用で大阪に行った帰り、JR和歌山駅からきのくに線で帰路についた時のことを書いていて思い出した。私の右斜め後ろに立っていたちょっとファットなお兄さんとその友人の会話。
「○○系、速い?」
「速いと思うよ。××※○×□で△△×※※やから」
「じゃあ、○○の○○は?」
「それもなかなかやわ。○×△※□□で○△□やし」
「じゃあ、○○線は?」
(以下、私が降車するまで10数回リフレイン)
電車のことを話しているのか、と途中から理解できたのだけど、なかなかのボリュームで車内に響き渡っていた。好きな漫画やアニメのことになると早口でまくしたてる自分もあんなんだろうかと思いホームに降り立った。
(2025.02.19公開)