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【わかやまぶらぶら】カフェ『やまももの木』に行ってきました/紀美野町

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旧美里町は何かと思い出がある地域だ。取材やプライベートで何度も訪れているのだが、今から15年ほど前?もっと前?に町内の温泉施設まで友人たちとロードバイクを走らせた夏は4Kくらい鮮明に覚えている。

和歌山市から旧美里町間なんて、自転車が趣味の人にはなんてことのない距離だと思うが、なにせ私は初心者。車の運転では感じたことのない、永遠に続くかと思わせるなだらかな上り坂は、インドア派のヒットポイントを着実に奪っていった。行程の後半へと差し掛かる地点でペダルを踏みこんでいると、まず左足のふくらはぎがつり、自転車から降りようとした瞬間に右足もつってしまい、そのまま地面に倒れ込んでしまった。

水分補給したいところだが飲み物はリュックにしこたま詰め込んだ缶チューハイだけ。しかし幸運にもリタイアした場所は閉業した酒屋の前で自販機もあった。南アルプスの天然水とはいわない、普通の水でいい、水をわらわに…。座り込んだまま自販機のラインナップを確認するとビールやチューハイが並ぶ酒屋のガチなやつだった。

詰んだ。

観念してリュックに手を伸ばし、おもむろにプシュ。ああ、あの時の●結のおいしかったこと(←危険すぎ)。

実のないお話から始まったけど、私にとって美里といえばこの体たらくエピソードと、過去にコラムを執筆いただいたミュージシャンの故きんた・ミーノさんとの思い出が大きい。その内容はいつか書くかもだけど、きんたさんが暮らしていた建物を利用したカフェがオープンしていると聞いて車を走らせた。

「こんなに走ったっけ?」というくらい高野山方面に車を走らせてたどり着いた古民家風一軒家、そこがカフェ『やまももの木』だった。丸い円型の大きな窓はまぎれもなくきんたさんの自宅。軒先に年季の入ったデボネアが停まっていたのを思い出した。

入ってみると、オーディオ機材やレコードが並ぶクラシカルな雰囲気。店内に流れるBGMは昭和の歌謡曲。和む。最近はこんなのが心地よい。

きんたさんのギターも展示

奥にいた店主らしき女性にお話をうかがうときんたさんをご存知で、建物を使用する経緯や室内のことなどいろいろ教えてくれた。話が弾んできたところで、きんたさんの友人という常連客も加わり、さらにヒートアップ。いろんなエピソードを披露してくれた。

店の看板メニューは「ずんだもち」。店主の旦那さんが子どもの頃食べられなかったずんだもちを再現、というのがざっくりとした理由らしいのだが、ずんだもちというワードとビジュアルがこの地域にマッチしていてなんだか面白い。

名物のずんだもちと、ずんだスムージー。手作りならではの餅の形がいい感じ

営業日は水曜、土曜、日曜。さくっと訪れるにはちとハードルが高いけど、「美里といえば」という問いの答えがまた1つ増えた気がした。

2024.09.11公開)