この連載ってすっかり思い出上書きの旅みたくなっているけど、こちらもずいぶん久しぶりの『道成寺』に行ってきた。紀の国わかやま国体・大会が開催された2015年にガイドブックを作って以来だからほぼ10年ぶり。JR道成寺駅の周辺にオープンした「まちなみの駅道成寺」という簡易休憩施設に車を停めて散策できそうだったので早速利用して、ぶらぶらスタート。
お参りに行く前に、土産店「あんちん」で「もちもちつりがね饅頭」を購入。店舗はリニューアルされていて、すっかり今風(←表現古っ)になっていた! 昔は確か、あんとカスタードだけだったのに、今は梅あん、栗あん、抹茶あん、キャラメルあん、つぶあんを加えた計7種類から選べるのだ、と手癖で書いてしもたけど、全部買っていいよ、そこのお兄さん。
たぶん購入したお客さん限定なのだと思うけど、店内にあるミニチュアサイズの鐘はついてもいいらしい。すっかりテンションが上がってしまった私は、ごーーーんとひと鳴らし。
「たぶん」と書いたのは、お姉さんからのお誘いもあったのだが、商品購入前にうっかり鳴らしてしまい、注意書きを確認しなかったから。フライングした手前、そりゃ買うよねー。実は少し前、お土産に梅あんをいただいたので、味は存じ上げていた。その名に違わぬもちもち食感でおいしゅうございました。
思わぬアトラクション体験にすっかり上機嫌でいざ道成寺へ。御坊市に建っていると思われがちだけど、所在地は日高川町鐘巻。この地名は道成寺に伝わる「安珍清姫物語」にちなんでいるのだろうけど、いつの時代から命名された地名なんだろうね。
ここで物語についてざくっと解説。安珍に恋したものの裏切られた清姫が大蛇になって安珍を追い、最後には道成寺の鐘の中に逃げた安珍を焼き●すというあれである(端折りすぎだろ)。この悲恋のお話は「道成寺物」として、能楽や歌舞伎といった古典舞踊に限らず、美術や文学、現代芸術などあらゆる分野の題材となり、今も伝えられている。ちなみに「鐘巻」とは大蛇が鐘を巻いて燃え上がるクライマックスの場面だ。境内にある縁起堂では安珍清姫物語を描いた「道成寺縁起」という絵巻の写本を使用する「絵解き説法」が行われ、同寺の名物となっている。
道成寺は和歌山県で最も古い寺で、大宝元年(701年)に創建。重要文化財の建造物や国宝、文化財指定の仏像が祀られている。宝佛殿は年中参拝できるので、古い仏像や文化財に興味のある人は見ておいて損はない。境内には「道成寺の七不思議」という案内板があるので、初めて来訪する人はこれをチェックしてから散策するのがオススメだ。
この日、たどり着いたのが閉門間近だったので(お店で鐘つきすぎた)、さくっと境内を見回しただけで残念ながらタイムアップ。門から見下ろす郷愁感あふれる参道の風景が好きだったなぁ、とここに立って思い出した。
(2024.07.18更新)