和歌山市観光課 髙崎さん(以下、髙崎) 今回の企画では、私もまだ巡ったことのない和歌山市内をご一緒いただくということで。初回の小倉地区から結構歩きましたね。私にとってはこれがノーマルです。
編集M(以下、M) いやぁ、この地区ではよく歩きましたね。では小倉地区での旅程を振り返りましょう。小倉地区での目的地「上三毛観音堂」は、県道143号線 井ノ口交差点を超え、県道9号線を東へとひたすら進み、左側にある下り道を降りたところにあります。この日は上三毛観音堂を基点に小倉地区をぶらぶらしてきました。
私が印象に残っている場所は、上三毛地区に祀られていた「水神様」です。これまで見たことがなかったので新鮮でしたし、人間の足元の高さに神様が祀られているというのも不思議でした。
髙崎 農家さんにとって水はとても大切なもので、水の状況によって収穫が左右されることから、水神様は田畑のそばや用水路に祀られているんでしょうね。私もこれまで見る機会がありませんでした。
ここからほどなくして「上三毛観音堂」にたどり着くわけです。この日は残念ながら詳しいお話は伺えなかったのですが、地域住民の方々が観音堂や水神のお世話をされているようですね。
M さて上三毛観音堂を基点に、これから進路を西に歩いていきます。髙崎さんは「ちかばめぐらー」として、知らない地域をめぐる時に心がけていることはありますか?
髙崎 『ちかばめぐり』にも書いていますが、まずは地域や目的地について下調べすることを前提として、とりあえず、細い路地はくまなく入ってみる。怪しそうな雰囲気がする所には勇気を出して行ってみる。これにつきます。
M さすが、めぐらー(棒読み)。
髙崎 (冷ややかな表情で)偶然出会った住民の方に話しかけるのも大切です。地域に眠っている昔の話をうかがえるかもしれません。
M 私、一応、編集やライターの仕事をしていますが、未だに見知らぬ人に声をかけるのが怖いです…。
髙崎 そこはちゃんと自分の名前と目的を名乗れば大丈夫かと。勇気を出して声をかけてみてください(苦笑)。面白い地域の逸話に出会えるかもしれませんよ。
M 小倉地区をじっくり歩くのは初めてですが、想像以上に自然が豊かで畑も多いですね。野菜の無人販売も点在していましたし、わざわざバイクや自転車で乗り付けて買いに訪れる方もいらっしゃいました。
髙崎 買い付けにこられる方がたくさんいたので、私もナスを買いました。知られざる地域の魅力に触れることができるのも、ちかばめぐりの良さです。
M だらだら歩いているうちに(←失礼)いつしか木工団地に入りました。
髙崎 昔は和歌山市街にたくさん存在していた木工関連の会社がこちらに移転し、時代の経過と共に数少なくなったそうです。
M 同じ地域で性格の違うエリアが混在している様子を実感できるのは、歩いてめぐる良さですね。ここから上三毛観音堂のある場所に戻るのですが、帰り道に立ち寄った「八坂神社」はディープで面白かったですね。
髙崎 興味深いお話を聴けましたね。社の裏手にあったお家の方にお話をうかがったのですが、この地域では毎年7月に「きゅうり断ち」という風習があり、七夕の時期の1週間はきゅうりを食べないそうです。今では数軒されているかどうか、という風習だそうですが、病気や災いに見舞われた際にきゅうりを断っていたことから受け継がれている伝承だそうです。
M これは知らなかったですよね。「何か見つけてやろう」的な意識をしっかり持って歩くのが良いのだと、勉強になりました!
髙崎 町の取材が本業という人とは思えない発言ですね。
(次回は2023年2月27日(月)午前11時より公開します)