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なつやすみの美術館14 河野 愛「こともの、と」/和歌山県立近代美術館

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河野愛《O》2024 ネオン看板 作家蔵






(以下、ニュースリリースを転載)

「こともの」̶̶この不思議な響きのことばは、「コト」と「モノ」でしょうか。それとも「こども」に関する何かでしょうか。美術作家の河野愛(かわの あい/1980~)は近年、「こともの」と題したシリーズの作品に取り組んでいます。河野自身は「異物/異者」と表記される古語として、このことばを選んでいます。乳児の肌のくぼみに真珠を挟んだ様子を撮影した一連の作品は、そのやわらかな肌の心地よい感触と同時に、真珠という異物が肌の合間に存在する違和感、またクローズアップによる距離の測れなさ、そして怖さをも見る者に感じさせます。

 河野が「こともの」を制作のテーマとしたのは、2019 年末、コロナ禍に見舞われる直前に出産し、子育てが始まったことがきっかけでした。見えないウイルスという異物が世界を脅かし、外出が極度に制限されるなか、河野は生まれたばかりの乳児と向き合う日々を送ることになります。自分の身体のなかから生まれ出た存在ながら、コミュニケーションの難しい異者である乳児との生活は、その状況も相俟ってさまざまな困難を伴いましたが、その結果、河野に「こともの/異物/異者」という存在に向き合う視点を与えることになりました。

 ところで美術館には体系立てて集められたさまざまなコレクションが存在しますが、収蔵された作品は過去の「遺物」でもあり、また作品同士は互いに「異物/異者」として存在します。それらを時代やジャンルに縛られることなく自由に出会わせることで、美術と美術館の楽しみ方をさまざまな視点から紹介する場として設定してきたのが、和歌山県立近代美術館が2011年より継続するシリーズ展「なつやすみの美術館」です。14 回目となる今回、河野愛を本展の招聘作家に迎え、美術館のコレクションに「こともの」である河野の作品を加えることで、また河野自身が美術館のコレクションという「こともの“と”」と出会うことで、美術館を訪れる人にとっての新たな「こともの」との出会いの場を生み出したいと思います。


なつやすみの美術館14 河野 愛「こともの、と」

会場  和歌山県立近代美術館 2階展示室
会期  2024年7月13日(土)~9月23日(月・休)
開館時間  午前9時30分‒午後5時(入場は午後4時30分まで) 休館日  月曜(祝休日の7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開館)7月16日(火)、8月13日(火)、9月17日(火)は休館
観覧料  一般520(410)円、大学生300(260)円 ( )内は20 名以上の団体料金
※高校生以下、65 歳以上、障害者、県内に在学中の外国人留学生は無料
※毎月第1日曜( 8月4日、9月1日)は無料入館日
※毎月第4土曜(7月27日、8月24日)は「紀陽文化財団の日」として大学生無料

記念対談 小川公代×河野愛
日時 8月10日(土)午後2時~午後4時
場所 和歌山県立近代美術館 2階ホール
ゲスト 小川公代(英文学者、上智大学外国語学部教授)、河野愛(出品作家) 聞き手 青木加苗(本展担当学芸員) 英文学者の小川公代氏をお招きし、出品作家の河野愛さんととともに、ケアの視点を交えてお話しいただきます。

アーティスト・トーク(河野愛によるギャラリートーク)
日時 7月13日(土)、9月7日(土)各回午後2時から1時間程度 2階展示室 ※要観覧券

ギャラリー・トーク(学芸員による展示解説)
日時 8月4日(日)、9月22日(日)各回午後2時から1時間程度 2階展示室 ※要観覧券 こども美術館部(小学生を対象とした作品鑑賞会)
テーマ:こどもの、ど 日時 9月14日(土)、15日(日)午前11時から1 時間程度 ※両日同内容
場所 和歌山県立近代美術館 2階展示室 人数 6人程度 ※要予約
8月31日(土)午前9時30分からホームページで受付いたします。

たまごせんせいとわくわくアートツアー(和歌山大学美術館部による鑑賞ガイド)
日時 8月14日(水)~8月18日(日)各日午前11時、午後1時30分、午後3時からの3回実施 45分程度
場所 和歌山県立近代美術館 2階展示室

和歌山県立近代美術館
和歌山市吹上1-4-14
tel.073-436-8690
https://www.momaw.jp