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【わかやまぶらぶら】故・きんたミーノさんとのこと/紀美野町

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今回はぶらぶらせずに、思い出話を。

今から15年ほど前、元おかげ様ブラザーズのヴォーカリスト、故きんた・ミーノさんにアガサス誌上でエッセイを連載していただいていた。

きんたさんとの初めての出会いは、何気に立ち寄った美里町内のログハウスっぽいお店。「何のお店かわからんけど、入ってみる」は、タウン誌編集者の義務。恐る恐る足を踏み入れると、ブラウン管(当時)で見たことあるファットでファンキーなグラサン男性がにょきっと顔を出して来た。有名人と遭遇した!という高揚感をひた隠し「なんでこんなとこいてるんすか?」みたいなことを質問したと思う。

聞けば、きんたさんは美里町出身で、バンド解散後に帰省してカフェ「地球庭園(ガイアガーデン)」をこの地で営んでいるのだという。

自分が客であることを思い出し、「牛すじカレー」をオーダーした。当時、牛すじが入ったカレーを食べたことがなかったと思う。

このカレーのおいしかったこと! 都会で暮らす人が作る料理はうまいのだなぁ。ああ、これを何度も食べたい。それがエッセイ執筆をお願いした理由だった。

というのは半分冗談だけど、打ち合わせのついでにきんたさんが作ったご飯も食べられるとは思っていた(打ち合わせにはめっちゃ遠い場所だけど)。ミュージシャンだし、クリエイティブな文才もあると確信していたので、執筆のオファーを出したところ快諾していただき、めっちゃうれしかったのを覚えている。

タイトルの題字はご本人によるもの

エッセイのタイトルは「kintaのハセケバランデブ」。生まれ故郷の長谷とランデブーと、ご自身の体型をミックスさせたナイスなタイトルをつけてくださって、連載はスタートしたのだった。

編集者と書き手という関係性のなか、いろいろ話をうかがった。音楽のことはもちろん、中島らもさんとの思い出やご自身のことも。本当に気さくに接していただいた。今、これを書きながら話したあれこれを思い出しつつあるけど、エッジはぼんやりしたまま。亡くなってからその存在の大きさ(太さではない)を思い知らされている。

2024.09.25公開)

初めてきんたさんの店を紹介した当時の誌面。1ページ半も割いていて力の入れようがわかる