今回は和歌山市紀三井寺、執筆者の地元だ。紀三井寺にはお盆とお彼岸、年末の墓参りと、本堂でご祈祷をしてもらうお正月の初詣、最低でも4度は足を運ぶ、私の地元オブ地元。この前、桜の季節以外では初めてカメラ持参で行ってきた。
紀三井寺は、今から1250年ほど昔、唐僧・為光上人によって開基された。本尊は十一面観世院菩薩像。正式には「紀三井寺金剛宝寺護国院」という名称だが、一般的には「紀三井寺」で知られている。ちなみに地元では「きみでら」と呼んでいる(「き」にアクセント)、と思う。
紀三井寺という名称は、紀州の、3つの井戸があるお寺ということで名付けられ、今も境内には清浄水、楊柳水、吉祥水の3カ所で水が湧き出している。西国観音霊場第二番札所で、早咲き桜の名所としても知られており、平成29年には日本遺産「絶景の宝庫 和歌の浦」の構成文化財の1つとして加えられた。ここまでは公式ホームページを参考に書かせてもらいました。
個人的に紀三井寺といえば「千日詣」だ。毎年8月9日に行われる行事で、この日にお詣りすると千日分の功徳がいただける、という謂れは大人になって知ったのだが、子どもの頃はそんなこと知ったこっちゃなく、おもちゃや縁日的なゲーム、おいしい食べ物が並ぶパラダイス銀河――屋台にしか興味がなかった。
昔は(書いてて驚く40年ほど前)屋台の数も多く、参道の両脇にひしめき立っていた。確かドライブイン「はやし」のあたりまで並んでいたと記憶する。訪れる人たちの数も半端なく、肩がぶつかるくらいごった返し、歩くスピードは牛歩のごとし。そんな人ごみのなかを悪い人たちにカツアゲされないよう、セキュリティ高めで参道を何度も往復していたのを覚えている。
あの頃大好きだった人工的なまでに鮮やかだったリンゴ飴も、今では食べることはなくなった。すっかり色あせてしまった初老がカメラを構えた現代に話を戻す。
話のネタに、行きはケーブルカーに乗車。その時の話は、このサイト内でも公開しているので、下にスクロールして過去記事を読んでもらうとして、ケーブルカーを下車し、エレベーターで一気に境内へ。人がほとんどいないかと思いきや、動画を撮影するお嬢さんやシニア夫婦(っぽい方々)、アジア系の家族旅行客など、それなりにいらっしゃった。
カメラを構えると、あちらこちらシャッターを切りたくなるのは職業病だろう。この時期に来たのは初めてだったので気づかなかったが、寺内の各所にきれいな紫陽花が植えられていて、見頃を迎えていた。ちなみに国指定重要文化財に指定されている「鐘楼」は、正月の三が日だけ鐘がつけることもあり、好きな建物だ。本格的な夏を迎えるこの時期にまさかの使えない情報でラストを締めくくってごめんなさい。
(2024.06.21公開)