『南紀オレンジサンライズFC』初代キャプテンとして、2022シーズンの選手たちを引っ張ったのが竹川恭平選手だ。竹川選手は兵庫県出身の25歳。和歌山大学サッカー部に所属し、卒業後は和歌山市内の小学校の教諭として子どもたちに勉強を教えていた。
「教師時代に峯上裕樹さん(現南紀オレンジサンライズFC監督)が和歌山を拠点とする新しいサッカーチームの監督に就任すると聞きました。いちから設立するチームだとサッカー選手としてのステップアップが遅いので、最初は入団するつもりはなかったけど、峯上さんと直接話すうちに、この人の情熱なら自分の人生を懸けられると感じ、チームへの入団をその場で告げました」。
「僕自身、拠点が和歌山じゃなければ入団してなかった。でも和歌山でサッカーをしていると、教師時代の教え子たちに僕の生き方を伝えることができると思ったのが決め手の1つでした。それにいつかは趣味程度で農業に取り組みたかった。いろいろな要素がうまくマッチしましたが、一番は峯上さんの熱意が大きかったです」と入団の経緯を振り返る。
竹川選手の受け入れ先となったのは、みなべ町内にある梅農家だ。農業に関しては、草刈りもやったことがないという素人で、本当にゼロからのスタートだった。
「昨年2月に移住してから、見習い農家として頑張っています。周囲の皆さんはだいぶ我慢してくれていると思います(笑)。でもとても親切に教えてくださり、サッカーの活動にも理解がある職場です。よく言ってくれるのは、働き手である男性(竹川さん)が加わったことで、それまで取り組めなかったプラスアルファの作業ができるようになったと。言ってくれています」。
初夏には竹川選手が管理する畑で収穫した青梅の予約販売も実施し、好評を博した。
「僕自身、まだまだ未熟な技術で役に立つというよりはプラスアルファの部分で貢献したい。それに今後、チーム独自で農業に取り組む際、自分が率先して引っ張れるよう、最低限の技術は身につけないといけないなと思っています」と農業での目標を話す。
サッカー面では、和歌山県社会人3部リーグを制し、今リーグからは2部リーグでの新たな戦いが待っている。チームとしてはサッカーに対する個々の意識向上が、今後のレベルアップに必要不可欠だと竹川選手は力説する。
「サッカーが生業なので、練習前の取り組みに始まり、アフターケア、普段の生活の過ごし方まで徹底的にこだわらないといけません。若い選手が主体のチームなので、試合でビハインドになった時、積極的になれないこともありました。逆境を跳ね返せるようなメンタル面を持つことが課題だと思います」。
個人としては、峯上監督からポジション変更を勧められ、サッカーへの思考までも変化のあった1年だったという。
「当初ディフェンスだったのが、途中から前線にまわり、攻撃に比重を置くようになりました。サッカー人生でやったことがなかったポジションだったので最初は戸惑いましたが、今所属しているフットサルチームでのプレースタイルや知識を生かし、対応しています」。
「センターバックをやっていた時は、得点を取るよりも相手の攻撃を防ぐことに集中していたので、考え方は変わりましたね。『責任のあるプレーをする』というのを選手としても、人間としても大切にしているので、もっともっと点を取らないといけないという気持ちにもなりましたし、元センターバックの自分が点を取りながら守備もできたら、チームとしても大きく貢献できるじゃないですか。この年齢になっても変わることができるんだなと気づけた1年でした」。
今シーズンの目標は、社会人リーグ2部で優勝し、1部への昇格。直近の大きな大会は、2023年2月からは「2023年度 中田食品杯 第28回和歌山県サッカー選手権大会 兼 天皇杯 和歌山県代表決定戦」が始まる。
「県1部のチームはどこも手強いですが、予選トーナメントではアルテリーヴォ和歌山を倒す可能性を見出したい。『全国社会人サッカー選手権大会』の県予選に優勝し、関西大会に出場するのが目標です」と力強く語る竹川選手は、地域の皆さんにも試合を見てほしいとアピールしてくれた。
「リーグ公式戦は紀北から紀南まで試合があるので、ぜひ一度見に来て欲しいです。もし新聞やテレビ、SNSなどで『南紀オレンジサンライズFC』という名前を見かけたら、最初のきっかけとして覚えておいてもらえたらうれしいです。いつか僕らがもっと有名になったら『ああ、あの時のチームな』と気づいてもらえるよう頑張ります。サッカーと地域貢献、片方だけ良くてもダメなので、両方しっかりできるチームになれたらと思います!」。
竹川恭平
兵庫県宝塚市出身。25歳(2023年1月現在)。177cm、72kg、ポジションはミッドフィルダー。南紀オレンジサンライズFC所属サッカー選手兼梅農家見習い。和歌山大学卒業後、小学校教諭の道へ。1年で退職し現チームに入団。チームを引っ張る精神的支柱といえる存在だ。
竹川選手のnote
https://note.com/pazuandporco/archives/2022
南紀オレンジサンライズFC
https://nankifc.com/